法人から個人に自動車保険の等級を継承する方法について
自分で会社を経営している場合には、自動車保険の契約を個人名義でするか、会社名義(=法人で契約) でするか選択肢が2通りがあります。
個人事業主の方にとっては、どちらでの契約がお得になるのでしょうか?
まず、会社で使用する車の名義人とその自動車保険の契約者を同一人物にしておくのが通常です。ですが、車の名義人と保険の契約者を同一人物としないという事も可能です。
ただし、会社名義の車に個人が契約した保険に加入した場合には、その個人が会社を辞めてしまった場合には、新規に保険契約をする必要が出てきますので注意が必要です。
個人名義で加入している保険の家族間での等級の継承については、等級を引き継げる為に条件等はありますが可能ですし、実際に多くの方が利用しています。また、この手続きも特に複雑なものではありません。
それでは、事業主の方が自動車保険の契約を法人名義でしていた場合で、年齢など様々な理由から保険の名義を個人の契約に変更したいというようなケースにおいて、自動車保険の等級を引き継げるのかについてみていきましょう。
法人から個人への等級の継承は可能かどうか?
これについては、条件はありますが可能な場合があります。
その条件とは、これは「法人を解散すること」と「法人解散後に事業を継続すること」です。
法人の解散とは、法人としての事業を完全に止めることです。 自分の年齢や会社の経営状況などの理由から、自分が事業主の立場を退き、会社を第三者に譲渡した場合などは法人の解散とは認められません。
この際に譲り受けた第三者が法人名の変更をしたとしても、解散とはみなされません。よって、そのような場合には保険等級を引き継ぐ事はできません。
また、法人解散後も個人事業主として事業を継続する事が保険等級を引き継ぐ条件となります。
条件を満たし、法人から個人へ保険等級を引き継げる場合に法人を解散したことが証明できるよう法人の閉鎖謄本等を提出し必要書類への手続きが必要となります。必要な添付書類については、保険会社により違ってきますので確認が必要です。
それでは逆に個人から法人への等級の継承は可能なのでしょうか?
個人事業主が法人を設立した場合などに社長個人が加入していた自動車保険を法人名義の加入にするという場合も、条件はありますが可能です。
その条件とは、既にある法人ではなく新規に設立された法人であること。また新規に設立した法人の事業内容が個人事業主が営んでいた事業内容と同一であることになります。この場合、他の法人を買い取り、会社名などを変更した場合は新規に設立したとはみなされないので注意が必要です。
どちらのケースについても、何十年か前までは、個人から法人へも、法人から個人へも保険等級の継承はできませんでした。
それから考えると、このようなケースでの保険等級の継承が可能となったことは、個人事業主や法人の代表者にとって自動車保険の保険料を安く抑えられる可能性を与えてくれるという意味で非常に有難い方法といえるのではないでしょうか。
ただし、どちらの場合も契約者が変わることで、特約の内容などが変更になる事がありますので、加入している保険会社への確認が必要です。