自動車保険の全損時諸費用について
自動車保険における「全損」 この言葉を聞いたり目にしたりした場合、良いイメージを連想するという方は少ないのではないでしょうか。
では、この自動車保険における全損、これがどんな時を示しているのかについて説明していきましょう。
まず全損となるケースは以下の3つが考えられます。
- 車が修理不可能な状態なほどの損害を受けてしまった場合
- 車が盗難などに遭い発見できない場合
- 車の修理費が車両保険のの保険価額以上になってしまう場合
この中で注意しなくてはいけないのが3番目の修理費が保険価額以上になってしまう場合です。
自動車保険に加入する際に保険価額つまり、補償の上限額を設定します。 修理費が保険価額よりも上回った場合には全損となるという事です。
この保険価額というものはどのように決まるかというと、オートガイド社の「自動車価格月報(通称レッドブック)」に記載されている小売価格を基準とし保険会社各社が定めています。
しかし、このレッドブックに載っている平均価格は市場の価格よりも低めなようです。という事は言い換えると全損事故の後で同じ年式の同じ車種に乗り換えようとした場合に、保険で支払われる金額では購入が難しいという事になります。
また、年代物の車でレッドブックに載っていないような場合には、新車の10%の価格を評価額として算出されているようです。
全損と認定されたらどうなるのか? どうすればよいのか?
全損してしまった車両を修理する費用の方が保険会社から支払われる保険価額より高いのが全損ですので、保険でカバーされない修理費用については自己負担となってしまいます。
また、このようになった場合に買い替えを検討するという事も決して珍しいことではないでしょう。
ただ、車を買い替えるとなると車両本体の価格だけではなく税金や手数料なども発生してきますよね。
これらの諸費用については、保険会社に賠償請求できるものとできないものがあります。
保険会社に賠償請求できない諸費用には自動車税、自賠責保険料、自動車重量税が挙げられます。 これらは、手続きを行いさえすれば未経過分に関しては戻ってくるものです。
そのような費用については加入している保険会社に対し還付請求をする事となり、賠償請求の対象外となります。
それ以外の車両を取得する時にかかる費用については、賠償請求ができる費用と考えておけばよいでしょう。
廃車費用についても賠償請求ができる費用となりますが、廃車にした車両にスクラップとしての価値があった場合にはその金額を差し引いた金額を請求することができます。
このような事から、全損事故の場合に同車種で同年式の車両を買い戻すことはなかなか難しい事だなということがおわかりいただけたのではないでしょうか。
車両保険に入っているから大丈夫と安心ばかりしてはいられません。 いざという時にきちんと保険会社と交渉ができるよう、自分の契約している保険を知るということはとても大事なことなんですね。