交通事故による損害賠償を請求できる2つの法律とその要件
2016/03/14
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交通事故による損害賠償を請求できるのは何故でしょうか?
交通事故に遭えばどんなケースであっても損害賠償を請求できると思っている方もいると思いますが、そうではないので注意が必要です。
交通事故の損害賠償を請求できる要件(民法)
民法では他人から損害を被った場合、民法709条の不法行為による損害賠償請求権を使って、相手に損害賠償を請求することができます。ただ、何でもかんでも請求できるのでは無く、以下の4つの条件を満たしていることを被害者側で証明しなければいけません。
②故意または過失によること
③被害者の権利を損害していること
④侵害行為と損害の発生に因果関係があること
①については加害者の年齢が12歳~13歳以上であれば、責任能力があることになります。また、③と④については事故の状況から通常起こりうる程度に因果関係があれば立証はあまり困難ではありません。
しかし、②の故意・過失を被害者側が立証するのは一般的に困難となります。故意・過失とは「わざと、もしくは注意をしていれば避けれた事故を不注意で起こしたこと」の事を言います。
加害者の心理的な注意状況を被害が立証する事は、想像するだけで困難を要することが明らかです。その為、被害者が立証することができず、損害賠償請求を認められないケースが多発しました。
自動車損害賠償保障法による損害賠償請求
交通事故による損害賠償を請求することが困難な状況を救済するため、昭和30年に自動車損害賠償保障法(自賠責法)が制定されました。この法律では、事故によって死傷した人は加害者に対して損害賠償を請求することができると定めらています。民法で必要な要件であった、加害者の故意・過失を立証する必要はありません。
一方、加害者が次の3つの要件を立証できた場合は、損害賠償を負う必要ないとされています。
②事故が被害者または運転者以外の過失によって起こったこと
②自動車に欠陥がなかったこと
その他、以下のケースでも自賠責法を根拠に損害賠償請求が認められません。
- 物損事故の場合(自賠責法は人身事故を対象にしているので、物損事故による損害は民法709条によって請求する必要があります)
- 因果関係がない場合(事故と損害の発生との間に因果関係がない場合は請求することができません)
- 被害者の過失が100%である場合(自殺目的の事故)